豪ニューサウスウェールズ(NSW)州議会の上院公共説明責任・公共事業委員会が実施した「データセンターに関する調査」に対し、シティ・オブ・ライド、シティ・オブ・シドニー、ペンリス市の3自治体が2026年3月、データセンターの新規承認停止(モラトリアム)を求める提出書類を提出しました。ライド市は2026年3月26日受理の提出書類で、州政府に対し電力・水資源への影響が十分に把握されるまで新規承認を停止するよう求めています。
ライド市によれば、同市マッコーリーパーク地区には既に稼働中のデータセンター5カ所に加え、州重要開発(SSD)案件として7件が審査中で、承認されれば合計12カ所に達します。同地区の温室効果ガス排出量はライド市全体の38%を占め、住宅開発向けの水供給が既存データセンターへの割当により圧迫されているとし、シドニー・ウォーターが供給能力不足を理由に一部の住宅計画を遅延させている実態も指摘しています。
AEMOはDC需要が2030年に電力需要の11%に倍増と予測
豪州エネルギー市場運営者(AEMO)は、データセンターの電力需要が2026年の州内需要の約5%から2030年には11%まで拡大すると予測しています。ライド市の提出書類は、単一のハイパースケール施設(100メガワット超)が年間5万〜10万世帯分の電力を消費し得ると指摘し、住宅・雇用集約型産業向けの用地がデータセンターに転用される機会費用の大きさを訴えています。
NSW州政府は2026年3月27日、大型投資案件の許認可を迅速化する「投資実現庁(IDA)」のパイプラインに519億豪ドル相当のデータセンター15件を組み入れる一方、407億豪ドル相当の計画については時期尚早として見送ったと発表しています。業界側は需要予測が過大であり、接続費用や再生可能エネルギー調達は既に事業者負担で行っていると反論しています。