経済産業省と国土交通省が2026年7月14日に開催した、洋上風力促進ワーキンググループと洋上風力促進小委員会の第44回合同会議について解説します。
シリーズ最終回は、「一般海域における占用公募制度の運用指針」の改訂とパブリックコメントの結果です。第1ラウンドで選定事業者が撤退したことを踏まえ、価格競争だけでなく、事業を実際に完遂できる計画を重視する制度へ見直しました。
74者から301件の意見
政府は2026年1月22日から2月22日まで改訂案への意見を募集し、74者から301件の意見を受けました。回答と改訂後の運用指針は6月5日に公表済みです。
改訂では、供給価格と事業実現性の評価点を当面1対1とし、事業実現性をより精緻に採点する仕組みを導入しました。このほか、運転開始の迅速性に対する配点の引下げ、工程変更に備えた適切な予備期間、想定供給価格幅、落札制限、撤退時のペナルティーなどを盛り込みました。
事業実現性の評価に101件
最も多かったのは、事業実現性を精緻に評価する仕組みに関する101件です。「高度な基準」の具体的なチェック項目を開示すべき、海域ごとに基準が変わるのか明確にすべき、第三者委員会による評価の公平性を確保すべきとの意見が出ました。
安定供給・サプライチェーン形成への25点の配点については、過大であれば、実現可能性よりも見栄えのよい提案が有利になるとの懸念も示されました。
迅速性とスケジュールの柔軟性には32件が寄せられました。「適切な予備期間」の定義や、予備期間を使った場合に計画変更やペナルティーが必要になるのか明記するよう求めています。
想定供給価格幅の根拠を要求
価格評価に関する意見は34件でした。政府が公募前に示す「想定供給価格幅」について、算定根拠を公募占用指針に明記し、産業界と十分に協議するよう求めました。
また、事業者に過度なリスクを負わせて創意工夫を促すのではなく、物価、為替、金利、設備調達など、足元の事業環境を反映すべきとの意見も出ています。
落札制限では、同一事業者の落札を合計1GWまでとするルールについて、持ち分売却やコンソーシアム再編後の扱いを明確にするよう求めました。撤退時のルールには21件が寄せられ、参加資格停止の対象となる将来公募、親会社や関連会社への適用範囲、調査データの取扱いなどが論点になりました。
海域ごとの条件は今後具体化
地盤条件が想定と異なり、基礎の大型化や施工方法の変更が必要になった場合には、公募占用計画の変更を認めるべきとの意見もありました。領海内の着床式洋上風力にも、EEZの浮体式と同様の2段階入札を導入すべきとの提案も示されています。
今回の会合はパブリックコメント結果の報告が中心で、改訂後の運用指針を再審議したものではありません。事務局は、個別海域の評価項目、想定供給価格幅、落札制限などについて、今後策定する海域ごとの公募占用指針で具体化し、必要な調整とパブリックコメントを行う考えを説明しました。
洋上風力政策は、安い価格を競う段階から、コスト、事業完遂、国民負担、国内産業形成を総合的に評価する段階へ移っています。具体的な制度効果は、今後の公募再開と海域別の条件設定で問われることになります。
(シリーズ終わり)
出典