【解説:洋上風力促進WG(第44回)その5】ベスタスが国内ナセル組立へ 洋上風力の産業基盤を構築

経済産業省と国土交通省が2026年7月14日に開催した、洋上風力促進ワーキンググループと洋上風力促進小委員会の第44回合同会議について解説します。

第5回は、洋上風力の産業基盤とサプライチェーンの構築です。政府は海外風車メーカーの技術・投資を呼び込みながら、国内製造拠点と部品産業を育成し、2040年までに国内調達比率65%を目指す方針を示しました。

海外依存と人材不足がボトルネック

日本では風車本体を海外からの輸入に依存し、関連部品の製造拠点も海外へ流出しています。港湾、試験設備、系統、人材なども不足しており、金利上昇や初期資金調達の難しさ、国際市場の変化も事業拡大の制約です。

一方、ナセル内部の部品製造技術、造船、鉄鋼、ベアリング、増速機、磁石、炭素繊維など、日本企業が強みを持つ分野は残っています。政府は海外メーカーとの協業を通じて国内に技術と投資を呼び込み、風車・浮体の供給網を再構築する考えです。

ベスタス、2029年度までに最終組立拠点

経済産業省とデンマークの風車大手ベスタスは2026年3月9日、日本国内の製造拠点設立に関する覚書を締結しました。

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洋上風力市場の拡大と一定量の国内案件を前提に、ベスタスは2029年度までにナセル最終組立拠点の設立を目指します。受注量が継続して確保された場合には、発電機などの主要部品と小物部品を国内で組み上げるナセル完全生産拠点を2039年度までに設置するロードマップも策定しました。

ベスタスは日通、重量物輸送・建設を手掛けるDENZAIとも覚書を交換しました。室蘭市、秋田市、北九州市などの自治体も参加しており、製造だけでなく物流、建設、O&Mを含む供給網の形成を目指します。

北九州の設備投資に約13億円を申請

経済産業省は「GXサプライチェーン構築支援事業」を通じ、国内製造拠点への設備投資を支援します。2026年7月10日には、ベスタス・ジャパンのナセル最終組立事業を採択しました。

実施場所は福岡県北九州市若松区で、補助対象経費は約26億5,200万円、補助金交付申請額は約13億2,600万円です。現在海外で行っているナセル組立工程の最終段階を日本へ移管する計画です。

北海道・東北・九州に産業クラスター

政府の「地域未来戦略」では、北海道、東北、九州が洋上風力産業クラスターの素案を提出しています。鉄鋼、造船などの既存産業や需要地との近接性を生かし、港湾、系統、人材育成、製造・保守拠点を一体的に整備します。

関連投資には、既存予算とは別枠の「強く豊かな日本」投資枠を活用する方針です。委員からも、国内でモノパイル製造やナセル拠点整備が進み始めたことを評価する意見が出ました。

ただし、国内拠点の実現には継続的な案件量と受注の確保が前提です。公募の停滞が長引けば、メーカーが国内投資を判断できないため、案件形成と産業政策を一体で進められるかが今後の焦点になります。

(続く)

出典

洋上風力促進ワーキンググループ・洋上風力促進小委員会 合同会議(第44回)

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