【解説】日経平均株価急落、電力システム改革への影響は?

28日の東京株式市場で日経平均株価が急反落し、前日からの下げ幅は一時3000円を超えた。28日の韓国株急落を受け、人工知能(AI)・半導体関連銘柄が総崩れとなった。市場では、弱含みが続いてきた円相場の想定外の上昇がきっかけとなり、2024年夏の「令和のブラックマンデー」と呼ばれた株価急落劇の再来が近いのではとの警戒も出始めた。

28日の東京市場ではAI・半導体関連が軒並み下落した。メモリー株の指数寄与度が大きい韓国総合株価指数(KOSPI)は28日に一時、取引を中断する「サーキットブレーカー」が発動された。東京市場でも半導体メモリー大手のキオクシアホールディングスに売りが膨らんで制限値幅の下限(ストップ安水準)まで売り込まれる場面があった。

AI相場とは何か

AI相場とは、生成AIや大規模言語モデルの普及を背景に、GPU、HBMメモリー、NANDフラッシュ、半導体製造装置といった関連銘柄の収益拡大期待を織り込んで株価が上昇する局面を指します。2026年7月下旬には、この期待の修正が起き、東京市場ではキオクシアが1日で約18%下落、韓国ではSKハイニックスやサムスン電子が10%超下落するなど、半導体関連株が大幅調整となりました。米国でも半導体指数(SOX)が下落し、AI関連銘柄の過熱感が一気に巻き戻されています。

世界で拡大するが振れ幅も大きい需要

AI需要の中心にあるのはハイパースケーラーによるデータセンター投資です。2026年には、主要IT企業の設備投資は合計で数千億ドル規模に達し、クラウド・AI基盤の拡張が続いています。一方で、国際エネルギー機関(IEA)はデータセンター電力需要について、2030年に約945TWhまで拡大する基本シナリオに加え、効率化が進めば約700TWhに抑制されるケース、AI普及が加速すれば1,700TWh超に達するケースも提示しています。これは需要の見通しに大きな幅があることを示しています。

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投資回収への懸念と金融リスク

今回の株価調整の背景には、「投資→需要→収益」という連鎖の不確実性があります。すなわち、①データセンター投資が計画通り実行されるか、②半導体やメモリーの実需が伴うか、③AIサービスとして十分な収益を回収できるか、という点です。実際、大手IT企業は巨額の設備投資を進める中でフリーキャッシュフローの余力が縮小しており、資金調達の増加や信用リスクへの警戒が市場で意識されています。

ただし、少なくとも主要ハイパースケーラーが一斉にキャッシュフロー赤字や格付け低下に陥っている状況は確認されていません。むしろ投資拡大に伴う資金調達構造の変化や、半導体企業の信用スプレッド拡大への懸念が先行して株価に反映された側面が強いと考えられます。

電力需要想定と制度設計への影響

電力分野では、この不確実性がより直接的な影響を持ちます。日本の電力需要想定は、データセンターや半導体工場の増設を織り込み、2030年代に向けて緩やかな増加を前提としていますが、基本的には単一のベースケースに依存した「一本線」の想定が中心です。

仮にAI向けデータセンター投資が減速すれば、需要の下振れにより短期的な需給ひっ迫リスクは低下します。しかし同時に、発電所や送配電網への先行投資、容量市場の調達量、系統増強計画などが過剰となる可能性があります。これは投資回収や料金水準にも影響し得る構造的な問題です。

今後は、需要の不確実性を前提にした複数シナリオ型の電力計画や、段階的投資、柔軟な系統運用の重要性が高まります。AI需要を前提とした長期計画は依然として有効ですが、その前提が揺らぐ局面では、電力システム改革もよりダイナミックに進める必要があるといえます。

【参考】

IEA Electricity 2024 – Data centres and AI

電力広域的運営推進機関「全国及び供給区域ごとの需要想定」

Wikipedia 半導体指数(SOX)

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