フランス会計検査院(Cour des Comptes)は2026年5月28日、2023年6月に完了したフランス電力(EDF)の完全国有化に関する検証結果を公表した。国家によるEDF株式100%取得は総額97億ユーロを投じた、国家出資庁(APE)が2004年の設立以来手掛けた中で最大規模の案件で、2022年からのエネルギー危機やEDFの経営・財務上の困難、原子力再興という背景の中で実施された。国はもともとEDF株式の83.7%を保有していたが、本件によって保有比率を100%まで引き上げた。検査院は、本件の動機、2022~2023年の実施プロセス、および同社のガバナンスと資金調達方式への影響を調査した。
検査院は、国が1株当たり12ユーロという市場価格を4割上回る価格を提示し株主に売却を促したことなどを踏まえ、実施済み増資分と合わせ関連コストは約4億5,400万ユーロに上ったと指摘。国は買収前から既にEDFの大部分を実質的に支配していたとして、完全国有化により国が得た具体的な便益は、投じた費用に見合う形では特定しづらいとし、「有用性がこれまでのところ実証されていない投資」と結論づけた。
原子力再興に向けた資金調達枠組みの明確化を要求
検査院は、国が株主でありながら規制当局的な役割も担うという二重の立場に起因する利害相反が継続している点を課題として挙げた。その上で、フランスの原子力産業再興に必要な巨額投資に対応するため、EDFの資金調達枠組みを明確化する必要があると指摘し、国家出資庁に対し2026年度決算に関する発表までにEDFへの配当方針を明確化するよう求めた。
出典:https://www.ccomptes.fr/fr/publications/la-prise-de-controle-100-dedf-par-letat