欧州エネルギー規制者協力機関(ACER)は2026年7月7日、欧州ガス輸送システム運用者ネットワーク(ENTSOG)の「2026年夏季供給見通し」に対する見解を公表しました。ACERは、2026年4月1日時点のEUのガス貯蔵率が28%と過去3年の同時期を下回っており、冬季前にLNG輸入を拡大する必要があると指摘しています。
ENTSOGの見通しは、今年度の参照シナリオに前年からの大きな手法変更がないとして、ACERは2026年版に対する正式意見は発出しないとしています。一方で貯蔵充填を巡る課題は認識しており、2026/27年冬季の供給安定性を見極める観点から分析を示しました。
LNG輸入拡大の必要性
ACERの分析によれば、11月1日までに貯蔵率90%の目標を達成するには2025年比で約13%多いLNG輸入が必要になる一方、80%目標であれば2025年並みのLNG輸入量で達成可能だとしています。LNGはEUの天然ガス輸入量の約半分を占めており、EUは世界最大のLNG輸入国となっています。
足元では、冬夏の価格差縮小によりガス貯蔵を積み増す経済的インセンティブが弱まっているほか、REPowerEUガス規則に基づきロシア産LNGの短期契約が4月25日、パイプラインガスの短期契約が6月17日からそれぞれ段階的に廃止されており、中東情勢による価格変動も加わって貯蔵に回せる供給量が限られる可能性があるとしています。
現在の貯蔵状況とACERの提言
直近のデータでは、貯蔵注入量が過去10年平均・2025年実績のいずれも下回っており、充填スケジュールにリスクが生じています。EUのガス貯蔵率は現在約49%で、2021年と同水準にとどまっています。
ACERは、加盟国と所管当局に対し、今後数カ月の貯蔵充填の進捗を注視し、ガス貯蔵規則を遵守しながらリスクを管理して充填を進めるよう促しています。また、計画的・非計画的な供給途絶がEUの貯蔵充填目標達成に与える影響を今後も注視する必要があるとしています。
出典:https://www.acer.europa.eu/news/eu-will-need-higher-lng-imports-refill-gas-storage-ahead-winter