イタリア政府は2026年4月18日付の官報(Gazzetta Ufficiale 第90号)で公布した法律第49号(2月20日制定の電気・ガス料金対策政令、通称「Decreto Bollette」の転換法)において、国内石炭火力発電所の稼働停止期限を2025年末から2038年12月31日へ延長すると発表しました。石炭火力の廃止期限が法律で明記されるのは今回が初めてで、従来の国家エネルギー気候計画(PNIEC)が掲げてきた2025年内全廃という目標に代わるものです。
対象となるのはブリンディジとチヴィタヴェッキアの2施設(当初2025年末閉鎖予定)、およびサルデーニャ州のフィウメサントとポルトヴェズメの2施設(当初2028年閉鎖予定)の計4施設です。同法案は2026年4月3日、下院(Camera dei Deputati)本会議で政府信任投票にかけられ、賛成203票・反対117票・棄権3票で可決されました。延長を盛り込んだ修正案は当初、与党リーガ(Lega)のリッカルド・モリナーリ議員が提出し、政府が再構成のうえ与党全体とアツィオーネが共同提出者に加わりました。
中東情勢による方針転換
イランを巡る軍事的緊張の高まりを受け、ホルムズ海峡経由のガス輸入に支障が生じる懸念が強まったことが、今回の延長の直接的な背景です。環境・エネルギー安全保障省(MASE)のジルベルト・ピケット=フラティン大臣は、ブリンディジとチヴィタヴェッキアの発電所を「戦略的」と位置づけ、燃料供給の悪化に備えて稼働可能な状態を維持する方針を示しています。
今回の規制改正は、4施設を直ちに稼働させるものではなく、非常時に稼働・待機できる猶予期間を2038年まで確保する枠組みです。
気候目標との整合性をめぐる議論
イタリアはPNIECで石炭火力の2025年内全廃を掲げてきましたが、今回の法改正によりこの目標は事実上撤回されました。環境保護団体からは、気候公約に反するとの批判の声が上がっています。
出典:https://www.normattiva.it/eli/id/2026/04/18/26G00066/ORIGINAL