フィリピン・エネルギー規制委員会(ERC)は、ルソン・ビサヤ・ミンダナオの各グリッドにおいて卸電力スポット市場(WESM)の運用を2026年3月26日付で停止したと発表しました。中東情勢の緊迫化に伴う世界的な燃料価格の乱高下から消費者を守ることを目的とした措置です。マルコス大統領は3月24日、大統領令第110号(2026年)に基づき国家エネルギー非常事態を宣言しており、今回の市場停止はこれを受けたものです。

エネルギー省(DOE)はWESM停止に伴い、市場価格に代わって「修正型行政価格(Modified Administrative Pricing)」制度を導入しました。シャロン・S・ガリン・エネルギー相は3月30日の記者会見で、この措置により1キロワット時あたり9.00ペソ規模と見込まれていた電気料金の急騰を回避する狙いがあると説明しています。
燃料種別による発電優先順位の見直し
修正型行政価格制度のもとでは、再生可能エネルギーと国産エネルギー源の発電を優先的に活用したうえで、石炭火力発電を続く優先順位に位置づけています。石炭火力の価格上限は1メガワット時あたり6,000ペソに設定されました。DOEのジョバンニ・カルロ次官によると、価格の割高な液化天然ガス(LNG)や石油に代えて石炭を積極的に活用する方針への転換が図られ、石炭火力発電所は計画を上回る出力で稼働する一方、天然ガス火力発電所は計画を下回る出力にとどめられています。
実際の価格動向
カルロ次官は、措置導入後の初期実績としてルソン・ビサヤで1キロワット時あたり5.41ペソ、ミンダナオで5.48ペソとなり、全国的に比較的安定した価格水準を維持していると述べています。ガリン長官も、当初想定していた9ペソ規模の値上がりは回避されたとしています。WESMの運用停止は、ERCとDOEが市場正常化の条件が整ったと判断するまで継続される見通しです。