フランス電力(EDF)は2026年2月16日、原子力を中心とする発電設備の出力調整(モジュレーション)の産業・組織・社会面への影響を分析した調査報告書の概要を公表しました。2019年から2024年にかけて原子力の出力調整量は約15TWhから30TWh超へと倍増し、2025年には33TWhに達しています。太陽光発電の系統接続待ち容量が送配電会社エネディスの集計で約29GWに上ることなどを踏まえ、2028年には需要の緩やかな増加を前提に42.5TWhまで拡大するとの試算も示しています。
出力調整はこれまで主に夜間・週末に行われてきましたが、太陽光発電量が多い日中にも及ぶようになっており、調整が原子炉の停止に至る頻度も増しています。揚水発電(STEP)の稼働時間は2025年に例年より大幅に増加し、ガス火力複合サイクル(CCG)の起動・停止回数も同じ期間で倍増しました。
タービン給気弁の点検頻度見直しで年間3,000万ユーロの追加費用も
EDFの報告書によると、低圧タービンの給気弁について現行10年に1回としている完全点検を6年に1回に見直す場合、発電設備全体で年間約3,000万ユーロの追加費用が発生すると試算しています。また、出力調整に伴う機材の劣化メカニズムを解明する専用調査にも約1,000万ユーロを要するとしています。
主因は再エネ拡大と需要の伸び悩み、電化を優先課題に
EDFは出力調整増加の主因について、フランスおよび欧州における太陽光・風力発電の拡大と、電力需要の伸び悩みが重なっていることを挙げています。今回の分析は、発電を含む電力システム全体のコストを一体的に算定する「PPE3(第3次エネルギー多年度計画)」の検討にも活用するとしており、供給過剰の緩和策としては需要側の電化推進を最優先課題に挙げています。