経済産業省は、2026年8月6日、パシフィコ・エナジー富士三次合同会社が計画する「(仮称)三次市糸井太陽光発電事業」の環境影響評価準備書を審査します。当初は7月24日の開催を予定していましたが、Microsoft Teamsのシステム障害により延期されました。議題と配布資料に変更はありません。
計画地は広島県三次市の約132.6haで、運営を終了したゴルフ場跡地を利用します。発電出力は交流最大9万kW程度、太陽光パネル容量は直流最大13万5,000kW程度です。事業者は既存地形を活用して切土・盛土や造成面積を抑え、運転開始後の草刈りでは農薬や除草剤を使用しない計画を示しています。
福祉施設や住居に近く、工事騒音が焦点
環境大臣は、発電所周辺に複数の福祉施設と住居があり、建設機械による騒音の予測値が現況値から大きく上昇すると指摘しました。予測値自体は事業者が設定した環境保全目標を下回るものの、低騒音型機械の採用、建設機械の規格変更、工事工程の調整などを求めています。
ここで注意が必要なのは、基準値を満たすことと、周辺環境への影響が小さいことは必ずしも同じではない点です。一方、行政意見は「極力低減」など幅のある表現が中心で、具体的にどの程度まで騒音を下げれば十分なのかは明示されていません。事業者に追加対策を求めるのであれば、評価指標や必要な低減水準を審査過程でより明確にすることも必要です。
アキサンショウウオ、移殖より伐採回避を要求
対象区域内では、国内希少野生動植物種のアキサンショウウオの生息と繁殖が確認されました。事業者は森林の一部を伐採し、個体を区域内外の適切な場所へ移殖する計画ですが、環境大臣は代償措置よりも影響回避を優先し、生息する樹林の伐採を避けるよう検討を求めました。
やむを得ず移殖する場合には、移殖先での生息・繁殖状況を事後調査し、悪化が確認された場合は追加措置を実施する必要があります。周辺で繁殖が確認されたサシバについても、工事時期の調整や、工事前から段階的に環境変化に慣らすコンディショニングなどが求められています。
希少種の保全は重要ですが、どの樹林を残せば個体群を維持できるのか、移殖と生息地保全のどちらが実効的なのかは、一般論だけでは判断できません。部会では、専門家の知見と現地調査に基づき、発電設備の配置変更が必要となる範囲を具体化できるかが焦点となります。
廃棄・リサイクル費用も事業計画に反映
環境大臣意見は、環境配慮設計がなされた太陽光パネルの採用、設備の長期使用、撤去後のリユース・リサイクルも求めました。将来の解体、撤去、適正処理に必要な費用に加え、リサイクル費用も計画的に確保するよう要請しています。
これらの対応は、パネル配置、造成計画、工期、EPC費用、維持管理費、撤去引当てに影響する可能性があります。ただし、8月6日の会合は環境影響評価準備書の審査であり、現時点で事業計画の変更内容や経済産業大臣勧告は決定していません。事業者は部会審査や知事・環境大臣意見を踏まえ、評価書を作成することになります。
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