カナダのカーニー首相は2026年5月14日、2050年までに国内電力系統の供給力を倍増させる「国家電力戦略(National Electricity Strategy)」の策定を発表し、州・準州、先住民、電力会社、労働組合との協議を開始した。同国は既に発電量の約80%を非化石電源が占め、G7で最も低廉な家庭用電気料金を実現しているが、EV・データセンター・防衛産業などの拡大により電力需要は2050年までに倍増する見通し。カナダ核産業協会の試算では中期的に1,500億kWの追加供給力(うち非化石ベースロード1,150億kW)が必要とされ、オンタリオ州だけでも需要が75%増加すると見込まれている。
4本柱・1兆加ドル規模、天然ガスも活用へ
戦略は(1)発電・送配電・蓄電・系統近代化への投資、(2)東西・北を結ぶ州際連系線の拡充、(3)2050年までに13万人規模(2028年までに3万人)の人材育成、(4)国内製造基盤の強化、の4本柱で構成される。政府はこの実現に総額1兆加ドル(約116兆円)規模の投資が必要になるとしつつ、2050年までに最大150億加ドルの省エネ効果と、カナダ世帯の7割でエネルギー費用が純減すると試算。信頼性と手頃な価格を両立するため、天然ガスも継続的に活用する方針で、クリーン電力規制の柔軟化も検討する。既にオンタリオ州のダーリントン新設原子力プロジェクトなど大型案件が主要プロジェクト庁(MPO)を通じて進行中で、カーニー首相は「電力を制する者が我々の未来を制する」と述べた。
出典:Prime Minister Carney announces forthcoming National Electricity Strategy