オンサイト太陽光発電大量導入で困難化する配電網管理。今こそ求められる「営配一体運用」

PPAが呼び戻す過去の課題

沖縄電力は、2026年7月31日、太陽光PPA「かりーるーふ」などをオンサイト再エネ拡大策を進めています。

同サービスでは、沖縄新エネ開発が住宅などに太陽光発電設備と蓄電池を設置し、15年間にわたり保守を含めて運用します。

同社は2040年までに再エネ導入量を2019年度比10万kW増やし、蓄電池や系統安定化技術も高度化するとしています。

東京電力エナジーパートナーも「エネカリプラス」を展開し、スターツとの集合住宅向け事業では1戸約2kW、年間1,000戸程度の導入を目標に掲げています。

賛否はありますが、旧一般電気事業者自身がオンサイト再エネ・蓄電池事業領域での存在感を強めています。

独占時代に進められた「営配一体運用」

この旧一般電気事業者による低圧PPAの拡大は、約40年前から東京電力が進めていた「営配一体運用」を想起させます。

当時、営業と呼ばれた小売部門と配電部門の社員は100を超える同じ地域事業所で働きながら、部門間の情報共有は必ずしも十分ではありませんでした。

こうした中で経営は地域独占への批判を背景に顧客志向を打ち出し、営業拠点に技術サービス要員を配置して、停電・事故対応を担う配電部門との連携を強化しました。

1987年のCI導入に続き、1988年には社員から募った572編の歌詞から選ばれた「Song for Your Energies」を松任谷由実さんが作曲するなど、企業文化の改革も進められました。

法的分離後に広がった情報の溝

その後状況は一変します。

2016年の小売全面自由化と2020年の送配電部門の法的分離により、一般送配電事業者には小売・発電事業者を差別しない中立性が求められるようになりました。

規制部門と自由化部門の間での非公開情報の漏えい事案も発生したため、アクセス権限や情報遮断を厳格化する流れとなりました。

自由化とともにようやく、需要家側では低圧・高圧を問わず、太陽光、蓄電池、EV、エコキュートなどの分散型エネルギー資源(DER)が急増しています。

配電系統は設備が面的に広がり、電線亘長も長いうえ、上位系統ほど潮流・電圧の計測点が多くありません。受電点の正味潮流だけでは、太陽光の総発電量、蓄電池の充電率(SOC)、充放電計画、制御可能量を把握しにくく、逆潮流や電圧上昇、需要予測誤差への対応が難しくなります。PPA事業者だけが機器データを持てば、オンサイト電源が系統運用上のブラックボックスになる可能性があります。

組織ではなく「機能」を再統合する

いま必要なのは、かつての垂直統合型組織へ戻ることではありません。ファイアウォールを維持しながら、営業・PPA事業者が持つ需要家設備の情報と、配電事業者が持つ系統制約情報を中立的に連携させる「機能としての営配一体運用」です。

具体的には、需要家の同意を前提に、設備容量、発電量、SOC、充放電予定、DR可能kWを標準APIで登録するオンサイト・オフサイト共通データベースが考えられます。配電事業者からは混雑、電圧、出力制御、DR指令を同一条件で返し、競合する小売・PPA事業者にも非差別的に開放する必要があります。国の小委員会でも需要家側DRリソースのデータ整備を求める趣旨の意見が出ており、系統運用、サイバーセキュリティ、顧客対応を横断する人材育成も課題です。沖縄電力の取り組みは、旧一般電気事業者が蓄積してきた現場知見を、公正な市場と分散型系統運用の両立に生かせるかを問う事例になります。

出典

沖縄電力「おきでんグループ経営ビジョン・中期経営計画」

沖縄電力「かりーるーふ」の開始について

沖縄電力「かりーるーふ」サービスページ

東京電力エナジーパートナー「集合住宅×太陽光」

資源エネルギー庁「エネルギー白書2025・電力システム改革の推進」

経済産業省「電力データ集約システムの運用開始」

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