さくらインターネット株式会社は、2026年4月27日、2026年3月期連結決算を発表しました。
同社は売上高が前期比12.4%増の353億100万円となり、クラウドサービスやGPUインフラストラクチャーサービスの需要拡大を背景に増収を維持しました。一方で、AI向けGPU設備の増強、人材採用、データセンター設備への大型投資など先行投資負担が大きく、営業損失4億300万円(前期は営業利益41億4,500万円)、経常利益1億500万円(同40億6,000万円)、親会社株主に帰属する当期純利益2億1,600万円(同29億3,700万円)となりました。(さくらインターネット)
AI需要を背景に売上は過去最高水準を更新
同社はインターネットインフラ事業を中心に、クラウドサービス、専用サーバ、レンタルサーバ、ハウジング、IoT通信サービスなどを展開しています。近年は生成AI向けGPUクラウドの提供を重点事業に位置付けており、国産AI基盤整備を支える事業者として注目を集めています。
売上高は2024年3月期の約218億円、2025年3月期の314億円、2026年3月期の353億円へと3期連続で拡大しました。一方で利益面では、大規模な設備投資と減価償却費の増加が収益を圧迫しました。営業利益率は前期13.2%から△1.1%へ低下しており、利益よりも成長投資を優先する経営姿勢が鮮明となっています。(さくらインターネット)
GPUインフラへの大型投資が短期利益を圧迫
今回の決算で最も特徴的なのは、生成AI向けGPUインフラへの積極投資です。
生成AI市場では大規模言語モデル(LLM)の開発やAI推論用途でGPU需要が世界的に急拡大しており、日本国内でもGPUクラウドを提供できる事業者は限られています。同社はこうした市場環境を踏まえ、GPUサーバやデータセンター設備への投資、人材採用、運用体制の強化を進めています。
同社は、短期的にはこれらの先行投資が利益を押し下げる一方、中長期的な需要拡大を取り込む基盤整備を進めているとしています。(さくらインターネット)
セグメント開示は限定的、クラウド・GPUが成長をけん引
決算短信では事業セグメントごとの詳細な売上・利益は開示されていません。
一方、決算説明資料では、クラウドサービスやGPUインフラストラクチャーサービスが引き続き成長を支えていることが示されています。特に政府機関や研究機関、企業のAI開発需要が拡大しており、高性能GPUをクラウド経由で利用するニーズが売上拡大に寄与しています。
レンタルサーバや専用サーバなど従来サービスも安定した顧客基盤を維持しており、AI関連サービスを含めた幅広いインターネットインフラ事業が収益基盤となっています。(さくらインターネット)
電力需要の拡大と脱炭素対応が今後の競争力に
生成AIの普及に伴い、GPUを大量に搭載したデータセンターでは電力消費が急増しています。そのため、データセンター事業者には安定した電力調達や高効率な冷却設備、省エネルギー化への対応が重要な競争要因となっています。
さくらインターネットは国内データセンターを運営する数少ない事業者であり、AIインフラ需要の拡大は電力・再生可能エネルギー市場にも影響を及ぼす可能性があります。今後、再生可能エネルギーの利用拡大や省エネルギー設備への投資が進めば、脱炭素分野との結び付きも一層強まることが期待されます。ただし、今回の決算資料では具体的な再生可能エネルギー導入量やCO₂削減目標などの数値は示されていません。(さくらインターネット)
次期は営業黒字への回復を計画
2027年3月期の会社計画では、売上高450億円(前期比27.5%増)、営業利益15億円、経常利益18億円、親会社株主に帰属する当期純利益11億円を見込んでいます。GPUインフラストラクチャーサービスとクラウドサービスの拡大が業績回復を支える前提です。(Yahoo!ファイナンス)
今回の決算は、短期的には利益水準が大きく低下したものの、AI市場の急拡大を見据えた積極投資が特徴となりました。国内AIインフラ市場は政府支援も背景に成長が続くとみられ、同社が構築を進めるGPU基盤が稼働率向上につながれば、売上高・利益の改善余地は大きいと考えられます。一方で、設備投資負担や減価償却費の増加、GPU調達コスト、データセンターの電力コストなどが収益性に与える影響については、今後も注視する必要があります。
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