米国エネルギー情報局(EIA)は2026年2月10日、寒波による暖房需要の増加や天然ガス生産の落ち込みを受けて記録的な在庫取り崩しが発生したとして、2026年の天然ガス価格見通しを引き上げたと発表しました。1月の天然ガス価格(ヘンリーハブ)は平均7.72ドル/百万Btu(MMBtu)まで上昇し、2月の月次エネルギー短期見通し(STEO)に反映されました。
EIAによれば、1月下旬の「冬季暴風雪Fern」の影響で暖房需要が急増し、天然ガス生産が落ち込むと同時に、記録的な貯蔵取り崩しが発生しました。1月30日終了週の週間純取り崩し量は、EIAの週間天然ガス貯蔵報告の統計開始以来最大を記録しました。
冬季暴風雪Fernによる価格急騰と在庫見通しの下方修正
2月のSTEOでは、2026年3月末の取り崩しシーズン終了時点における米国天然ガス在庫が1.9兆立方フィート(Tcf)を下回ると予測され、前回見通しから8%下方修正されました。これを受け、2026年2月・3月のヘンリーハブ現物価格見通しは前月のSTEOから40%引き上げられました。EIA長官のトリスタン・アビー氏は「冬季暴風雪Fernは天然ガス市場に大きな短期的圧力をもたらしたが、価格上昇が掘削活動を増加させ、年後半の生産増加と在庫の回復につながると見込んでいる」と述べ、2026年のヘンリーハブ価格は平均4.30ドル/MMBtu、2027年は4.40ドル/MMBtuになると、前回1月の見通しから5%引き下げて予測しました。
生産・発電・石炭消費への影響
天然ガス生産は、寒波の影響で2025年12月から2026年1月にかけて3%減少しましたが、EIAは2月上旬までにほぼ復旧すると見込んでいます。2026年後半には、パーミアン盆地での新規パイプライン容量の稼働や掘削活動の増加により生産が増加するとし、通年では2026年に2%、2027年に1%の増加を見込んでいます。電力需要については、テキサス州や大西洋岸中部地域を中心とするデータセンター需要の拡大や経済活動の活発化により増加するとし、その大半は再生可能エネルギー発電の増加で賄われると予測しています。また、寒波によるピーク電力需要に対応するため石炭火力発電所の稼働が増加したことを受け、米国の石炭消費見通しも引き上げられました。1月の発電用石炭消費量は4,300万ショートトンとなり、1月のSTEO予測を10%上回りました。